防音室付き新築住宅の設計事例です。
趣味でピアノ演奏を嗜む建主の希望は、夜中でもご近所に気兼ねなく演奏できるよう配慮しつつ、一方、家の中に対しては開放的な防音室があることでした。
そこで、リビングに隣接する形でピアノ室をつくり、大きなガラス戸で仕切ることで視覚的なつながりを確保しながら、屋外に対しては十分な防音性能を確保する計画としました。
防音室のすぐ隣が広々としたリビングであることから、音楽仲間を呼んで楽しむことができ、また、お子さんの練習している様子を見守ることもできます。
屋外に対する遮音性能はD-50で、ピアノの音がご近所さんの家で聞こえることはありません。
床は無垢フローリング、壁には漆喰を塗りました。自然素材の温もりはやすらぎを感じるだけでなく、音響の面でも良い効果 があります。畳敷きの和室は無いものの、リビングの大開口には障子を入れ、和の設えが落ち着いた佇まいです。
所在地:千葉県千葉市
コース:新築住宅設計コース
防音室の用途:ピアノ室
遮音性能:屋外に対しD-50
2層吹き抜けのリビング。床はサワラの幅広無垢フローリング。壁はプレーンな白い漆喰の金鏝押え仕上。スピーカーの後ろが壁ではないため、後方反射音の影響がありません。
オーク無垢材のラックに納められたCDプレーヤーとアンプ。
とても簡素なシステムではありますが
リビングでくつろいで聴くには十分すぎる良質な音です。
CDプレーヤー:SOULNOTE / sc1.0
デジタルアンプ:Nmode / X-PM2
スピーカーケーブル:LINN / K400
スピーカー:B&W / CM1
フルオープンにできる木製建具は外側から網戸、ガラス戸、障子の3重構成ですべてが左右の壁内に引き込むことができるようにしました。
これくらいの広さと天井高さがあるとヴァイオリンの音色が伸びやかに空間に拡がります。隣の家が離れているため防音の配慮は特に行っていませんが、日中であれば気兼ねなく演奏できます。
リビングに隣接して作ったピアノ室。絶縁二重構造の防音室です。限られた面積ではあるもののガラス戸で視覚的につながり閉鎖的な感じがしません。
当初はアップライトピアノとCDラックが入っていました。床はパイン無垢フローリングに自然塗料(リボス)でほぼ黒に近いこげ茶に染色しました。
ダイニングは天井高が2200mmと抑えられ、親密さを感じられる落ち着いた印象です。開放的なリビングとは対照的です。
障子を閉めると外からの光がやわらかく拡散します。和の設えと北欧ポール・ヘニングセンPH5が意外と合います。
玄関の土間は豆砂利洗い出し。裏庭に出られる窓を設け、クロチクの鉢を置きました。下駄箱の間接照明は人感センサースイッチです。そうしないと付けないので・・・
階段の踏面は足ざわりのよいサイザル麻・ウール混合カーペット。登り切ったところに小窓を設け、隣家の植栽が見えます。
吹き抜けでリビングとつながった2階の書斎スペース。カウンターは杉板
個室へつながる廊下。ニッチは膳板をあえて設けず、漆喰を塗りまわして素朴に仕上げました。
屋根勾配なりの高天井。間接照明の光がふんわり拡がります。リビングもそうですが天井には照明器具を付けていません。
リビングのウッドデッキには深い庇を設けました。こちら側の外壁は杉板をエボニー色に塗装(キシラデコール)。
道路側の外観。西側ということもあり、開口部を極限まで絞り込みました。こちら側は漆喰塗りで真っ白に。玄関ドアはピーラー無垢板張で素朴な感じにしました。