防音と響き

防音性能について

  • 楽器や演奏時間帯、立地環境などをお伺いして、最適な防音性能を設定いたします。
  • 遮音性能を数値保証(※)、現場測定検査を行い、報告書にまとめてお渡しします。

   防音音響コンサルティングコースを除きます

一般にご近所さんに気兼ねなく演奏できる(音を出せる)遮音度の目安は下記の通りです。

ピアノなどクラシック音楽

一戸建て:屋外に対しD-50以上
マンション:上下左右の住戸に対しD-65以上

ドラムなどバンドスタジオ

一戸建て:屋外に対しD-65以上
マンション:施工対応不可

オーディオ/ホームシアター

一戸建て:屋外に対しD-45以上
マンション:上下左右の住戸に対しD-60以上

  • D値:日本建築学会が定める遮音等級 出典:『建築物の遮音性能基準と設計指針(第二版)』日本建築学会編

ブログにて防音にまつわる豆知識を解説した「防音工事の勘違い」というシリーズを展開しています。ご興味のある方はどうぞご覧ください

響きについて

1. 残響時間は重要?

響き=音響性能の尺度として有名なのは「残響時間」です。これは、音が止まった瞬間からその音が60dB小さくなるまでの時間を表しています。つまり、音が止まったあとにどれくらい余韻が残るかを示します。
よく、クラシック音楽専用ホールでは2秒が良いと言われますが、どうもこの「2秒」というのが独り歩きしているように感じます。と言いますのは、残響時間は部屋の大きさによっても変わるため、1000人規模の大ホールなら参考にできると思いますが、小規模なサロンホールのようなところで2秒も残響があると、銭湯のようなワンワンと響きすぎて不明瞭な響きになってしまいます。
個人住宅の音楽室のようなさらに小さなお部屋ではもちろんこの2秒はまったく当てはまりません。

そこで、私たちは残響時間ではなく、「平均吸音率」という指標を用います。
すごくざっくりした言い方をすると、その部屋がどれくらい吸音するかを割合で示し、残響時間とは反比例の関係になります。割合なので、部屋の大きさによらず判断しやすいと言えます。
残響時間と平均吸音率の関係については、過去の音響学者が色々と公式を提唱していますが、主に使われるものは部屋の容積と表面積、内装材の吸音率が分かれば残響時間が計算できるというものです。
(厳密には空気も吸音するため、部屋の大きさによって式の精度も変わることから万能ではありません)

アコースティック楽器によるクラシック音楽の演奏を目的とした場合、一般的には下記が目安となります。
 ・平均吸音率18%未満:ライブ(よく響く)
 ・平均吸音率18~22%:ほどよい響き
 ・平均吸音率22%以上:デッド(響かない)

ただし、響きについては感じ方に個人差が大きく、また楽器によってもちょうど良く感じる数値が変わります。

弦楽器、木管楽器、声楽はライブ気味、ピアノや金管楽器はややライブ気味に、ドラムや電子楽器などのバンドスタジオはデッド、ホームシアターもデッドと言われることが多いですが、それも個人によってまったく受け取り方が違うため、平均吸音率がいくつなら正解というのはありません。

さらに、残響は部屋に置かれるものや部屋にいる人数によってもすぐに変化します。
まだなにも入っていない建物完成直後と、住み始めてカーテンや家具が増えたあととではガラッと変わります。

防音性能と異なり、個人の受け取り方や室内の環境によって変化が大きく、目安の平均吸音率の数値を決めてしまうのはふさわしくないため、私たちは音響性能を数値で保証することはしておりませんが、設計初期の段階ではどのような響きがお好みかをヒアリングし、なるべくご要望に沿うようにしております。

2. 部屋の形で響きの良し悪しが決まる

実は残響時間よりもこちらの方がずっと大事なのですが、実情としてはほとんど注目されておりません。

小さな部屋で演奏すると、音がこもったように聞こえたり、低音がふくらんだ感じ(ブーミー感と言われたりします)がしたことはないでしょうか。
防音室のように音が外に出ていかないようにがっちり囲い込んだ場合は特に目立つのですが、これは定在波と言われる音の物理現象が原因です。定在波は囲まれた部屋ならば必ず存在するので無くすことはできませんが、偏った状態(特定の音程で目立つ)をなるべく分散して均一にすることで、すっきりとした癖のない響きにすることができます。

定在波は並行面で発生するので、部屋の3辺(幅、奥行き、天井の高さ)の比率を調節することで分散することができます。

私たちは、防音室設計の第一段階で部屋の形を計算するようにしています。

寸法比

a:b:cには音響的にふさわしい比率があります。

明らかによくないのは整数比で、たとえば8帖間のような正方形のお部屋は避けるべきです。また、極端に細長い部屋もよい響きになりません。

3. 部屋の素材で響きが変わる

楽器はそれが誕生した地域の風土や建築空間によって発達し、改良されてきました。
ピアノやヴァイオリン、フルートなどはヨーロッパの楽器ですが、がっしりした石づくりの建物で、内装は天然の木材や塗り壁で仕上げられていました。

楽器はそのような天然素材で囲まれた室空間において、良い音で鳴るように長い年月をかけて開発されてきました。また、そもそも楽器自体が天然の木材(ヴァイオリンやチェロ、木管楽器、ピアノの響板)でつくられています。

そして、作曲家が活躍した時代に「音響建材」は無かったはずです!
じゅうたんやカーテンなどで自然に吸音され、人工的な吸音板を使うことはもちろんありませんでした。

私たちは、吸音建材の使用は最小限に抑え、天然素材を用いることで楽器本来の響きを活かすよう心掛けています。