ピアノ愛好家のご夫婦のための防音室です。マンションの間取り全体の変更を伴うリノべーションで、リフォーム会社と同時進行のコラボレーション工事で施工しました。ピアノ室工事のうち、内装や電気工事などは住戸全体を施工するリフォーム会社で行い、専門的な技術の必要な防音・音響工事部分を担当しました。
所在地:東京都足立区
コース:コラボレーション工事コース
防音室の用途:ピアノ室
遮音性能:隣接住戸に対しD-80
床はオークの無垢フローリング、壁と天井の一部は塗装仕上げで、いずれもリフォーム会社の施工です。天井の吸音板は音響工事側で行いました。
お持ちのグランドピアノはスタインウェイのM。鍵盤両サイドの立ち上がりが角張っているのでニューヨーク・スタインウェイかと思いましたが、これはハンブルク製で、ほんの一時期だけ造られた非常に珍しい型とのことです。いまでは入手が難しい象牙の鍵盤でもあり、味わいのある質感です。
お引越し前のタイミングで訪れたため、棚の中はまだ空ですが、CDの膨大なコレクションが納まります。奥の棚には楽譜と、オーディオが入ります。
クラシカルなデザインのペンダントライトとブラケットライト。前のお住まいにもピアノ室があり、そこで使われていたものを持ってきて取り付けています。
出入口の防音ドアは二重ドアにしました。ほかの住戸に対する防音性能は防音ドア一枚でも十分なのですが、今回はご自宅のほかの部屋にもなるべく聞こえなくしたいというご要望から、二重防音ドアを採用しました。ご夫婦ともにピアノを演奏することからピアノの音に鋭敏なため、お互いに配慮したいそうです。
防音ドアは原則として性能の安定した大手建材メーカーの製品を採用しており、表面の素材は木目柄を印刷した樹脂系の化粧シートです。しかし、今回のお部屋は塗装を主体としたインテリアで、そのままではデザインの方向性が合わないため、ドアの上から塗装してプレーンな白い扉に仕上げました。インテリアに統一感があり、防音室だけ浮いたイメージになるのを避けることができました。