ピアニストとしての演奏活動や音大での指導、自宅でのレッスンと多方面で活躍中のM.Hさん。すでにグランドピアノ2台(ニューヨークとハンブルクのスタインウェイ)を入れたレッスン室をお持ちですが、このたび、同じくピアニストのお姉様に預けていたセミコンサートグランド(ヤマハCS2)を引き取ることになり、既存のレッスン室はそのままに、新たに防音室をご依頼いただきました。
所在地:東京都世田谷区
コース:リノベーション工事コース
防音室の用途:ピアノ室
遮音性能:隣接住戸に対しD-70、D-75
マンションのリビングと続きのお部屋をつなげて約14帖のスペースを防音室にリノベーション。床はウォルナットの無垢フローリング、壁は漆喰塗り、天井は桐の無垢羽目板張りという天然素材をふんだんに採用。コンサートホールのような豊かな響きです。GP2台のレッスン室は響きがデッド気味のため、そのギャップに最初は戸惑いながらも、次第に空間の響きに包まれる心地良さを楽しめるようになったそうです。
屏風絵と掛軸は画家であられた御祖父様の作品です。ピアノやカーテンという西洋のアイテムと同じ空間にありながら、まったく違和感なく調和しています。しばらく収納されていたそうで、「ふさわしい居場所を得て、天国の祖父もきっと喜んでいることと思います」と語るM.Hさん。
南側に大きな窓が2つ、その上に間接照明を設けました。やわらかい光を演出する一方で、梁型の存在感を消しています。
天井は桐の無垢羽目板張り。あえて無塗装とすることで吸音効果を狙いました。
セミコンサートグランドのヤマハCS2。奥行が250cmあり、現行品ではC7Xとフルコンの中間にあたります。少し弾かせていただきましたが、バスの深みはこのサイズならでは。いまでは希少となった象牙と黒檀の鍵盤は指先が吸い付くようなタッチでとても弾きやすいです。
ピアノ室の手前に、レッスンの待合室としても使えるコンパクトな空間があり、こちらのリフォームも合わせて施工しました。モクレンの壁紙はM.Hさんが選び空輸で取り寄せたこだわりの輸入クロス。床はお姉様から譲り受けた黒いじゅうたん。アンティークな調度品が並ぶクラシカルで落ち着いたインテリアに仕上がりました。